
今年4月に17ヶ月ぶりの増加に転じた新設住宅着工戸数は5月に再び減少した。
マンションが大幅減した影響が大きいが、その中で持ち家や戸建て分譲を含めた木造住宅は政府の経済対策、住宅ローン減税、住宅エコポイントなどの施策の恩恵効果が功を奏し、5%増と健闘した。雇用環境も最悪期を脱し、リストラの心配のない企業に勤める顧客層等は低金利、住宅景気対策などで買い時ともいえ、今年一杯はやや期待感のもてる傾向にある。
今回は今や我々の住宅の多くに使用されている欧州材の動向に注目し述べていきたい。現状、大手ハウスメーカーやパワービルダーを中心に多くの木造住宅の構造材に使用されている欧州産構造用集成材の相場動向においては、日頃より業界の誰もが気になる話となっている。思えば昨年の秋に、ある欧州の現地大手集成材メーカーが次年度より集成柱の増産を唱えた。この現地大手メーカーは当然量産工場であり原料の調達面や生産能力などにおいても非常に競争力のあるメーカーである。到底、国内の集成材メーカーは太刀打ちができない。
そこで多くの国内メーカーは、年明けの不需要期ということも加味して原料の調達も控え、生産も落とす計画をした。しかし、年明け~2月、3月と予想以上の実需が起きた。しかも増産を唱えた現地大手メーカーは言うほどの量は出してこず。おまけに流通にもプレカット工場にも余剰在庫も少ない状態だった為、いっきにタイトになり相場も急上昇していった。
さらに追い討ちをかけたのがフィンランド港湾スト(2月頭~約1ヶ月間強)2月積3月積の製品や原料が1ヶ月~2ヶ月の入荷遅れにつながり、5月の入荷は激減。更なる相場上昇に。6月に入り中旬以降からストの影響のものがかたまって入荷され、多少の一服感に。しかし、今だ国内集成材メーカーは多少の仮需的な受注も加味しても集成柱で1ヶ月、集成平角で1ヶ月半の受注残を抱えている状況と聞く(メーカーによって温度差あり)が柱に関してはいよいよ天井感を感じる価格となってきたので、今後の実需次第では転落する恐れも秘めている。
大方、経済対策の恩恵効果で9月、10月は更に需要は盛り上がってくると予想していることや現地の夏休み、原木不足の影響、コンテナ数量は回復傾向にあるものの船便が増えないなど、まだまだすぐには製品や原料の安定入荷は見込めず、各社原料メーカーの強気なオファー価格も継続中ということで、柱は高値据置き状態が9月位までは続くと予想。
一方平角に関しては9月、10月、11月位が相場の頂点で、そこまでは右肩上がりのじり高で上昇してくと予想する。
<あるフィンランド現地メーカーの方のコメント 7/2付>
「欧州の林産品輸出国はしばらく原木不足の状態が続き、製材品の相場は少し売り手市場で推移すると思われる。フィンランドは10-12月に免税の影響で原木のオファーが増えてくる。オファーが需要を大きく上回れば原木相場も下がる事も考えられるが大きく下がる事はないはず。どの製材工場も10月から原木の入荷量が増え、10月積から対日向けの原料のオファーも増えるだろう。日本着で考えると12月中旬以降から徐々に原料不足が解消。従って集成材相場は、今年11月頃がピークでその後しばらく安定した後下落に転じる可能性も視野に入れる必要あり。いずれにせよ、年内は相場が崩れる事はないと思っている。」
2010年7月7日 ピッコロ 押本 雅寿