
今年4月に17ヶ月ぶりの増加に転じた新設住宅着工戸数は5月に再び減少した。
マンションが大幅減した影響が大きいが、その中で持ち家や戸建て分譲を含めた木造住宅は政府の経済対策、住宅ローン減税、住宅エコポイントなどの施策の恩恵効果が功を奏し、5%増と健闘した。雇用環境も最悪期を脱し、リストラの心配のない企業に勤める顧客層等は低金利、住宅景気対策などで買い時ともいえ、今年一杯はやや期待感のもてる傾向にある。
今回は今や我々の住宅の多くに使用されている欧州材の動向に注目し述べていきたい。現状、大手ハウスメーカーやパワービルダーを中心に多くの木造住宅の構造材に使用されている欧州産構造用集成材の相場動向においては、日頃より業界の誰もが気になる話となっている。思えば昨年の秋に、ある欧州の現地大手集成材メーカーが次年度より集成柱の増産を唱えた。この現地大手メーカーは当然量産工場であり原料の調達面や生産能力などにおいても非常に競争力のあるメーカーである。到底、国内の集成材メーカーは太刀打ちができない。
そこで多くの国内メーカーは、年明けの不需要期ということも加味して原料の調達も控え、生産も落とす計画をした。しかし、年明け~2月、3月と予想以上の実需が起きた。しかも増産を唱えた現地大手メーカーは言うほどの量は出してこず。おまけに流通にもプレカット工場にも余剰在庫も少ない状態だった為、いっきにタイトになり相場も急上昇していった。
さらに追い討ちをかけたのがフィンランド港湾スト(2月頭~約1ヶ月間強)2月積3月積の製品や原料が1ヶ月~2ヶ月の入荷遅れにつながり、5月の入荷は激減。更なる相場上昇に。6月に入り中旬以降からストの影響のものがかたまって入荷され、多少の一服感に。しかし、今だ国内集成材メーカーは多少の仮需的な受注も加味しても集成柱で1ヶ月、集成平角で1ヶ月半の受注残を抱えている状況と聞く(メーカーによって温度差あり)が柱に関してはいよいよ天井感を感じる価格となってきたので、今後の実需次第では転落する恐れも秘めている。
大方、経済対策の恩恵効果で9月、10月は更に需要は盛り上がってくると予想していることや現地の夏休み、原木不足の影響、コンテナ数量は回復傾向にあるものの船便が増えないなど、まだまだすぐには製品や原料の安定入荷は見込めず、各社原料メーカーの強気なオファー価格も継続中ということで、柱は高値据置き状態が9月位までは続くと予想。
一方平角に関しては9月、10月、11月位が相場の頂点で、そこまでは右肩上がりのじり高で上昇してくと予想する。
<あるフィンランド現地メーカーの方のコメント 7/2付>
「欧州の林産品輸出国はしばらく原木不足の状態が続き、製材品の相場は少し売り手市場で推移すると思われる。フィンランドは10-12月に免税の影響で原木のオファーが増えてくる。オファーが需要を大きく上回れば原木相場も下がる事も考えられるが大きく下がる事はないはず。どの製材工場も10月から原木の入荷量が増え、10月積から対日向けの原料のオファーも増えるだろう。日本着で考えると12月中旬以降から徐々に原料不足が解消。従って集成材相場は、今年11月頃がピークでその後しばらく安定した後下落に転じる可能性も視野に入れる必要あり。いずれにせよ、年内は相場が崩れる事はないと思っている。」
2010年7月7日 ピッコロ 押本 雅寿
思えば丁度1年前、リーマンショックを皮切りに世界的な景気後退と金融危機に見舞われ、我々日本経済も上半期は原油価格による利益の減少に苦しんだ後に追い討ちをかけられ、その影響を大きく受ける波乱の1年であった。現在も住宅市場に回復の兆しはなく、ローン減税の拡大、贈与税の拡充、低金利などの好材料はあるものの、消費者のマインドの冷え込みは依然として変わらない。本来ならば秋需といわれるこの時期に入り、年間を通じて一番迫力のある需要が期待されるところだが、住宅資材は20%以上も市場が縮小しており、資材メーカーも減産対応を長期化して実施しているが、市況はなかなか上向いてこない。
そんな中、木材価格相場の現状は7月の話しの繰り返しとなるが、昨年末からの価格下落から輸入材を中心に完全に底は打っている。しかし、先の見えない実需低迷を受け、製品価格はほぼ横ばい状態。基本的にはどの製品においても上げ相場なので、仕事が見えている方々は購買意欲が増す時期なのだが、木材流通においてはそんな仮需もおきていないのが現状である。
輸入製品に関して北米、欧州全般に現地サプライヤーは厳しい経営に迫られ、減産は勿論、工場閉鎖など大幅な縮小体制にあり、一昔前の量産工場での考え方から一転し「原料コストに見合わないものは作らない」、「数量を減らしても採算の合うもののみ成約する」と厳しい価格を突きつけ、多少の為替の追い風はあったものの、なかなか希望数量の成約にいたっていない現状の中、年末から年明けにかけて、更に輸入製品全般の入荷量は激減してくると予想。国内集成材メーカーも、春先に予想していた価格には未だ到達せず、原料コストに見合わない販売価格が長く続いており、大手柱工場が事業撤退をしたり大半の工場が減産し続けていたり原料調達が上手く出来てなかった点などから、間違いなく集成材全般は右肩上がりの相場である。
国産材においては、減税や補助金の恩恵が付いた長期優良住宅で、国産材利用が推進されたことなどを受けて住宅市場で国産材を採用する動きが急速に広がってきた。新生産システムの導入などで構造材の安定供給が整いつつあることも大口のビルダー等に合致し、大手住宅会社向けの工場は軒並みフル稼働状態である。輸入製品の動き次第もあるが、国産材相場もジリ高ムードで原木も現在は桧を中心に上昇基調に突入している。だが、杉は依然として上げ鈍っているのでやはり国産材相場もこの秋需次第であり、大きな変動のない上げ相場に期待をしたい。
2009年10月7日 ピッコロ 押本 雅寿
今年5月の新設住宅着工戸数は62,805戸、前年同月比30.8%減、6ヶ月連続の減少で、年率換算値は約77万戸といよいよ80万戸をきる時代が目の前に来た。100年に一度と言われる経済危機のさなか、政府は景気対策へ向けた予算を次々と計上しているが、なかでも環境、省エネ、住生活の向上などの分野においては、木材・建材業界でも活用できるものが多いと思われる。そんな経済対策の追い風に我々も乗っていきたいところであるが、多少の秋需の話しはあるものの、未だ先の見えない、迫力のない需要が現状続いている。
木材価格相場の現状は、昨年末からの価格下落から輸入材を中心にようやく底を打った感がでてきたものの、そんな実需低迷を受けて盛り上がりにかけている状況。今年4月頃の予想では、今頃には集成材を中心に木材全般の価格相場はジリ高ムードで上昇しているはずであったが、予想を反し若干弱含みの横ばいで推移している。北欧材の今後の動向においては、原料、製品ともに、現地の原木不足や中東、北アフリカ向けの価格上昇と為替変動や原油高に伴う秋口以降の船運賃・コンテナ見直しなどを想定した強い価格提示となっているが、そんな市況の為になかなか成約ができていない。
北欧材だけでなく木材製品全般にいえることであるが、仮に契約価格が横ばいであっても、国内に需要があって在庫がタイトならば市況は値上がりするが、肝心の需要がなければ国内流通相場も横ばいのままである。現状、流通在庫は決して多くはない理由から、需要が持ち直せば、市況が引き締まるのは当然であり、そんな期待を持ちながらも、反面、もし大きな需要がおきたときには、パニックが起きることも予想される。
現状、どの国内メーカーも今の実需にあわせた原料の調達と減産体制、またどの流通においても余分な在庫は手当てしていなく、輸入材製品においても日本向け生産に対しては減産、そのため入荷も激減状況となっており、どの資材においても不足しているため、需要が起きた場合当然価格は高騰する。
高騰した価格は当然また大きく下落するはずで、そんな大きな価格変動がまた市況に混乱を招くことになるので避けたいところである。
そう思うと先に述べたように、今後、景気対策の追い風を受けていくらかの需要に結びついても、これから先の住宅着工はどうみても大幅に増加しないという現実をしっかり受け止めて、川上から川下までの歯車のあった木材流通の体制作りをし、木材の安定価格と安定供給を求めたいところである。
2009年7月24日 ピッコロ 押本 雅寿
米国のサブプライムローンの破綻はついに証券、金融の再編にまで達し、世界の同時株安を招くとともに、原油価格の値下がりやドル安、円高を助長、世界の金融不安を誘引している。また、10月に入りNY株が1万ドル割れをし、ドルやユーロが更に急落、円全面高に拍車をかけており、この影響は世界的に計り知れない状況である。今や円高や原油安は、我々の住宅資材業界を取り巻く環境からみれば追い風のように見えるが、全体の需要が委縮してしまえば何の意味もない。
新設住宅着工は、8月が9万6905戸と前年比53.6%増えたが、前年は改正建築基準法後の減少で、その反動増とみれるが、06年以前の5年間の平均に比べて5.5%低く、季節調整済み年率は113万戸に留まっている。本来秋需といわれるこの10月以降、先に述べた不安定材料の影響で、需要増は
きっと見込めないだろうとの予想がつく。
木材製品相場は、8月9月、何とか需要もあった為に、需給バランスが整い、北米製品大手国内製材メーカーの値上げ等の影響もあり、どの製品においてもジリ高基調で推移してきた。このまま多少の右肩上がりで、原料価格に見合った製品価格を内外各社メーカーは目指してきたのだが、この先、輸入材全般はいくら現地が強くとも、この為替の影響で値下がりに転じてくる予想は否めなくなってきた。特に北欧材は、集成材も含め、あまりにも急激なユーロ安に。影響は間違いない。ただし、全体の輸入製品在庫量を見ると、どのアイテムもあふれるほどの在庫はなくむしろ少ないアイテムもある。すべては実需の中での価格変動が基本ではあるが、年末~年明けにかけて需要が減る予想は強く、為替要因の製品下げとのダブルパンチで大暴落があるのかも…と予想する人も中にはいる。輸入材の値下がりが始まると、価格面だけを見た場合、今まで追い風だった国産材がまた競争力をなくし、また樹種変換を起こす可能性も秘めている。
前回も記したようにロシア材においては09年1月~の丸太輸出税率80%で国内製材メーカーの存亡の危機に直面してきた。次なる一手を模索している。輸入赤松製品も入荷激減、価格も凄い勢いで値上げしてきている。すでに手がでないほどの価格で代替製品を真剣に考えておかないといけない状況に。しかし「値が物を呼ぶ」と言われるように、また量が出てくるんじゃないかと言われる人もいる。これから年末にかけて、不安定な世界情勢、日本の政治、経済がどのように動いていき我々の需要に影響してくるのか…全く予想がつかない、何が起こるかわからない、木材価格の動向も、今の世の中を象徴した状況であると思う。
2008年10月4日 ピッコロ 押本 雅寿
2008年、サブプライムローン問題に端を発した米国不景気から、資金の流れが原油市場に流れて原油高となり、その結果、各種コスト高から物価が上昇し、まさにスタグフレーションであることが現実味を帯び、我々の生活にも直面してきた。
そんな中、当然ながら我々の業界にも影響を受けている。需要面では、新設住宅需要の低迷、とりわけ木造戸建住宅の不振が際立っており、依然として回復気配がでていない。供給面での問題は、先に述べた原油や各種化製品や鋼材などの高騰に拍車がかかり、輸送コスト高を加え、更なる原料コスト高へ。市場が健全であれば、原料高は製品価格へ適正に反映していけば良いのだが、前回にも述べた慢性的な需要不足のうえ供給過剰で、どの分野においても過当競争が続いておりコスト高の反映が遅々として進んでいない。
改善策として考えられるのは、当然ながら減少する実需に応じた住宅資材供給への調整と、コストに見合った価格水準への抜本的な引き上げが必要なのだが、更なる需要の減少を引き起こす恐れがあることから、各メーカーはなかなか大きな動きをとる事ができない状況が続いている。しかし、内・外の木材製品問わず、すでにメーカーサイドのコスト吸収は限界の局面にきているのは間違いなく、すでに合板などの建材、副資材関係は急騰に向かい始めた。
それとは別に、唯一強い展開を見せ始め、価格上昇に転じているのが赤松製品である。前回でも予想したとおりだが、更なるロシア丸太輸出税アップが見込まれ、当然、シベリア鉄道の運賃も確実に値上げが予想され、赤松丸太は、来年には市場での競争力は全く無くなると見ている。早急に代替の樹種を検討するとこまできていると思う。
木材製品全般でいうと、こんな局面でありながらなぜ?と思うほど、依然製品安の弱い状況である為、目先すぐに上昇に転じる動きはなさそうだが、反面こんな状況下であるので、急に何かの拍子にひっくり返り、高騰に転じる可能性も充分に秘めている。世の中の景気がこうである以上、大きな買い物である住宅の購入はまず初めに後回しにされてしまうに違いないが……適正価格でない、良い製品が安く購入できる今が、最高の購入時ではないかと思われます。
是非、皆様ご検討を…
2008年7月14日 ピッコロ 押本 雅寿
今年は、日経株式平均が1万5000円割れ、為替は1ドル110円突破の株安、円高で始まったが、この2ヶ月余りで株価は更に下がり、為替は100円割れと、まさに円高ドル安… こうした傾向は今だ進行中で、不況連鎖が世界を巡り始めている。当然、我々の業界にも大きな影響を受けているわけだが、これまでと少し様子が違い始めているのを感じる。本来これまで、為替が輸入材製品の価格に大きな要因をもたらしていたが、今現状は円高だからといって、大量に仕入れる機運が起きない。この4月から、ロシア丸太も税金が25%も引き上げられるのに、大量に買うメーカーも出て来ないと聞くが、やはり昨年からの需要の落ち込みと先々見えない不透明感によってダム機能をもてない苦しさがあるからであろう。
2007年の住宅着工が、106万戸と2006年に比べ、約23万戸減少した。これは昨年の建築基準法改正の影響だけを考える次元でなく、いよいよ100万戸時代の到来で、今年に入ってからも厳しい状況は続いている。それに加え、アメリカも更に悪い大きな落ち込み状況下の中、一度日本向けを見切った北欧も、また見直してきている。
そんな中、現状の輸入材全般の木材製品流通在庫を見ると、各メーカーが減産してきた影響で入荷量の少ない事もあり、やや少なめの状態で推移している。注目していた構造用集成材は、一昨年まで8年連続で延び続けてきた生産量も、昨年は内外合わせて20%減少、それでも現状では供給過剰といえる状態である。おまけに、昨年はユーロ高での大幅な輸入コストが上昇、先物コストが現物相場を大きく上回る状況となり、国内各メーカーを始め輸入元は、これまでにない苦しみを受けた。ここへ来て円高ユーロ安が進行しているが、それでもまだ現状の相場、採算に見合うまではいってないと思われます。
そこでいよいよ本格的に注目するのが国産材です。各国、日本向け輸入材製品全般の価格競争力が低下し、ここ近年より国産材振興目的で国や地方自治体が支援する新鋭大型工場が次々と建設され、品質も価格面でも、一番懸念されていた供給面においても、確実に自給率アップにつながる所まで来ていると感じます。
実際にここ数ヶ月で、住宅使用部材を国産材にシフトしているハウスメーカー、ビルダーさんも少なくありません。いろいろ述べましたが、本来であれば、この良い季節から需要が拡大し、木材製品も動き、各国内メーカー製材所等も減産体制を元に戻し、価格も上昇していく時期であるが、全くよめないのが正直なところ。需給バランスが整い、適正相場で安定するのはいつなのか…
いずれにせよ、業界の川上から川下までもっと現状を把握し、100万戸で在る事を認め、それに見合う体制作りをすることが重要であると思われます。
2008年4月17日 ピッコロ 押本 雅寿
2007年を振り返るとまず第一に建築確認を厳格化した改正建築基準法は、住宅業界に大混乱をもたらしました。 6/20の施行以降、新築住宅着工は7月からずっと30~40%以上激減し、それが木造住宅(木材価格)にも大きな影響を受けました。
勿論、それだけが木材価格の暴落につながったわけではありませんが、この大きな要因で全ての歯車が狂ったことに違いありません。世の中では、原油高により衣食を含め、殆どのものが値上がりしている中で、なぜ木材は…ほんと嘆きたくなります。
ようやく12月に入り、輸入材を含めた各メーカーが減産していた影響と流通在庫もだいぶ整理され、多少底見え感が出てきたものの、需要回復感が見えない為、全く本物とは言い切れない状態が続いています。
注目している集成材メーカー各社は、今も尚、原料安定価格での仕入に苦戦を強いられ、減産をしても製品価格は上がってこず、原料高の製品安にて正常化するのはまだ先であろうと予想します。
一方、北欧材輸入製品においては、現地は一転強気の動き。すでに1月2月積みのオファーに関しては、値上げが決定しております。北米材輸入製品はストの影響がまだ続き、入荷減ではありますが、そんなに大きな混乱もなく動いております。製品相場もアイテムによっては右肩上がりで、今後の需要により価格安定してくるものと思われます。しかし、原油高騰を背景に船運賃が一段と強含んでおり(北米だけではないが)日本向け船会社が一社、製材品輸送を撤退する等、一層入荷のタイト感があるのが心配です。
ロシア材においては、本格的な伐採期に入ったものの丸太出材量が増えていないとの事。この背景には、こちらも7月からの丸太輸出税の引き上げによるコスト高が要因で、現地造材業者の伐採・搬送コストが大幅上昇しており、収益圧迫しているのが原因。勿論、製品にも影響してくるはずで、相場上昇に転じてくるものと思われます。
国産材も輸入材も含めて、全てコスト高、値上げに転じていく要素しかない状況下の中、現実は今だ製品安のまま…。しかし1月2月の需要回復によっては、今の供給を保ってさえいれば、価格上昇に転じ、春先には正常化し、適正価格になる(希望的観測)。底のない海はないはずで、相場も必ず底があると信じています。
2007年12月25日 ピッコロ 押本 雅寿
本来、秋需といわれるこの時期にこれまで動きの悪い年があったであろうか…と嘆いてしまいたくなるくらい、需要は依然として低調のままである。まさに新聞市場をにぎわせている、住宅着工数100万戸時代の到来で、近い将来には80万戸にまでと云われていますが、もうすぐそこまで来ているのだと痛感します。追い討ちをかけたのが、6月20日付に施行された建築基準法改正で、確認申請の遅れ等の影響をもろに受け、木材流通価格相場は更に弱い展開で推移しております。一時期の輸入材埠頭在庫のピークからは、脱した感もありますが、これも製品によりけりで、基本的には弱腰状態が続いております。
中でも、今構造材の多くに使用されている集成材(管柱、平角など)の価格動向が非常に注目をされております。北欧からの完成品は勿論、国内メーカー製品の価格は、原価を無視した底なし状況に展開をし、今やシェア確保の為の体力勝負となり、相場がない状態になっております。大変厳しい見方をすれば、輸入、国内ともあわせて需要に対しての供給過剰の為に、一度下がるところまで行き、整理をしない限り、相場の安定と適正価格には戻らないであろうとの見方をしております。まさに、このままで行けば今年一杯から来年度頭が集成材メーカーの正念場であり、それまで価格の動向は、どこまで下がるか予想がつきません。
その中で、唯一北米材輸入製品においては、現地工場が8月後半からストライキに入り、今だ動いていない状況の為(すでに9月入荷少なく10月は無し)、たとえ10月から稼働したとしても、グリン材で11月後半、KD材で12月半ば位まで入荷はない為に、すでに現状もタイト感のある中、相場上昇に転じるのは確実と見られます。しかし、今の需要のままであれば、樹種変換も行われたとすれば、さほどの影響はなく進んでいく事も予想されます。
国産材においても、輸入材低調に比例し、動いております。春先の価格上昇から一転し、競争力のあった価格も今ではそんなに魅力もなく、物の不足感もなく、このまま横ばい基調にて進んでいくものと思われます。
前回同様、向こう3ヶ月の木材全般の価格動向は、大変読みにくい状況に変わりありませんが、多少の需要回復があろうとも、今年一杯の価格も持ち直しは、かなり難しいと予想します。早く本来の需給バランスに戻り、適正価格になることを祈るばかりです。
2007年10月01日
piccolo 押本 雅寿
6月に入り、木材の流通価格は正念場を迎えております。
5月末より6月にかけて、欧州材を筆頭に上昇を続けてきた流通価格も
一気に弱くなっております。輸入材、国産材共に全く下がる要素のない状況
下の中で、需要の問題のみで弱い展開になってしまっているのが現状です。
輸入材の中の欧州材においては、6月末現在対ユーロ170円に到達してしまう
勢いの円安為替相場ではありますが、現地契約価格は強含みで交渉されて
います。今、構造材の多くに使用される集成材の原料であるラミナ(板)に
おいても、国内集成材メーカーの仕入れは、まだまだ高値で契約したものが
続々と入荷される予定となっております。したがって製品価格を下げる要素は
全くないという状態ですが需給のバランス上、流通段階では3ヶ月前とは若干
変化して弱含みの状態に突入していきます。ロシア材においてもここ数ヶ月
順調な入荷だったため、欧州材同様、需要の回転の悪さに港に保管された
グリーン材(生材)において、この時期特有のカビの問題で荷痛みが発生し、
これも相場を落とす1つの要因となっています。
国産材については、昨年から輸入材価格上昇に伴い依然安定供給に多少
難はあるものの、競争力のある価格になり、需要が増え、相場も上昇して
きましたが輸入材の弱い動きに比例し、上昇ムードも低調になり始めました。
本来この時期、丸太が少なくなり、素材価格は高値に推移してくるのですが、
やはり資材の流れが悪い点から上がることの予想は考えにくい状況と思われ
ます。最近の国内合板メーカーによる国産材使用率を上げてきたことによる
国産杉丸太購買意欲も合板製品需要減で低調になってきたことにより丸太
不足の心配もなさそうです。もちろん8月9日の需要によって大きく逆の展開に
なることもありえますが、7月8日はほぼこのまま横ばいと見てよいでしょう。
木材全般の価格動向は先に述べたように現状は4月の上昇ムードとは一転、
「弱腰の相場ではあるが向こう3ヶ月の短期的な動向は非常に読みづらい」
というのが本音であります。もしこのまま低調な需要が続けば下げも考えられ
ますが、少しでも動きが回復してくれば4月の予想通り、高値横ばいに転じる
可能性もあるという見方になるでしょう。
2007年6月30日
piccolo 押本 雅寿
◆コメント◆
3月になり、外材(輸入材)の4,5,6月積み3ヶ月分(一部7月積も含む)の輸入契約交渉がはじまり、契約に至るまでに困難を要しているのが実状のようです。今後の木材の価格動向が気に掛かるところでありますので、住宅資材の主要部分に関わる欧州材、北米材、国産材について個人的見解を述べていきたいと思います。
<欧州材>
欧州メーカーの主力販売先である欧州域内が依然好調なため、出荷も衰えを見せず順調に進んでいます。しかも価格も上昇を続けており、この欧州向け価格が基軸になり各地域の価格も同様の傾向となるのは間違いないでしょう。さらに日本においてはユーロ建て取引が主軸のため、最終的に円換算した際、為替変動が大きなプラス要因、もしくはマイナス要因となります。2006年3月の為替相場の資料を見ますと、1ユーロは¥142前後でしたが、2007年に入ると円安傾向が続き、2007年2月には一時的に1ユーロが¥160と極端な円安局面に陥りました。為替の分だけでも10%以上の仕入高になります。さらに産地価格の上昇分を加味しますと、対前年同月比15%超の上昇になっています。
その他の気になる点は、丸太の使用目的の変化です。つまり、製紙用、製材用、合板用という従来の生産的な使用目的ではなく、燃料用に向けられてきていることです。地球温暖化対策の一つとしてバイオマス分野の需要が増加しているため、燃料として木が利用されてきています。地球温暖化対策を勘案しますと、通常の価格に関するマーケット理論が通らなくなる可能性があります。
この動向は今後の住宅用資材にとって大きな変化・変革を迫られる可能性があるので、欧州だけではなく世界中の動向を注意深く観察する必要があります。
<北米材>
昨年前半は米国住宅市況が良好であったため日本向けの出荷は低調でしたが、後半以降の住宅市況の低迷により、2006年11月より日本向け出荷が再開されました。しかし、日本の住宅資材と樹種志向の変化により、一度北米材離れしたムードを元に戻すのはなかなか難しく、昨年輸入した製品の中には今年になって一部コスト割れを覚悟の製品販売がみられました。その反面、現地では米国にとって木材の最大輸入国カナダが日本向けに輸出を目指しているようですが、丸太に虫が入る(虫害木)など現地の丸太事情等により日本向けグレードの製品が出づらい状態になっているため、増産に苦慮しているようです。ただし、欧州材がこのまま高留まり傾向になった場合、欧州材離れに拍車がかかり北米材(主にカナダ材)が再度日本向けの主導権を握る可能性もあります。
<国産材>
輸入材との価格差、資源の有効利用等により脚光を浴び、需要が多くなったため相場は上昇しています。杉の乾燥材の主要産地である九州では、4月出荷分より値上げを打ち出しました。その他地域でも値上げ打診が多く、おそらく4月以降順次値上げで決着すると思われます。また、伐採時期が終了に向かうにつれて丸太出荷が減少傾向になるため、素材価格は高値に推移すると思われます。
輸入材に関しては欧州の産地価格の上昇基調、北米の高値横ばい基調はしばらく続くと思われます。問題は現在の価格を日本サイドがどこまで受け入れられるか、という点に掛かってくると思います。海外シッパーがどんな状況になっても日本向け出荷を停止するわけにはいかないはずです(木材取引における貿易相手国として、量、金額を見ても日本をはずして考えることは出来ないはずです)。
これまでのところ産地価格の値上げをのんできた日本ですが、最終的に住宅価格に皺寄せされることになり、いつまでもそのような状況を許すわけにはいかないはずです。どのタイミングで産地と貿易相手国である日本との間に歩み寄りがなされるか、が重要な鍵を握っているのではないかと思われます。
国産材はいろいろな要素により見直されてきており、一時の採算を度外視した価格から脱却してきたようですが、やはり問題点は安定供給に尽きると思います。過去に、必要な時に商品が無いという理由でマーケットが嫌気をさしてしまい、「国産材はあてにならない」という烙印を押された経緯があります。国産材の価格上昇は、今まで伐採意欲を無くした山林家にとっては朗報ではありますが、誰が伐採するのかといった根本的な問題(山林労務者の減少・高齢化)を解決しないと国産材の地位を確保することは叶わないと思います。
最後に、木材全般の価格動向は、長期的には各国の資源戦略、地球温暖化による環境変化、各地域の市場動向などの影響によって大きく左右されますが、短期的(向こう3ヶ月)には若干の先高もしくは高値横ばいと思われます。
2007年3月31日
Piccolo 押本 雅寿